
散歩のさせ方
- 犬にとって散歩と食事は何よりの楽しみ。嬉々とした表情を見るだけで、こちらも嬉しくなってくるというものです。
適度な運動は、心身ともにいい影響を与えます。人間でも何らかのストレスを受けている時に、体を動かすことでそのストレスが軽減されるといいます。それは犬でも同じこと。体の健康を保つのはもちろん、健全な精神バランスを保つためにも適度な散歩は欠かさないようにしましょう。
- 社会化の一歩
散歩には、心身の健康を保つという他に、社会性を身につけるという側面もあります。生後3週齢~生後3ヶ月齢はもっとも社会化に適した時期と言われますが、丁度この頃はワクチンの接種時期とも重なり、ワクチンが安定するまでは外に出すことを躊躇するところ。しかし、この時期に無理のない範囲で、なるべく多くの人や物・環境に慣れさせてあげることが、将来的な犬の性格形成や行動に大きく影響します。
本格的な散歩デビューをする前に、子犬をダッコして家の周りを一周してみる、可能ならご近所さんに子犬を撫でてもらうなど、社会化の一環を兼ねて、少しずつ周りの環境に慣らしていきながら“散歩の準備”を始めましょう。ただし、ワクチンが不安定な時期でもありますので、外に出すタイミングなどについては掛かりつけの動物病院でご相談ください。
- 首輪とリードに慣れさせる
散歩の必需品は首輪とリード。あらかじめ子犬に負担のない軽さの首輪とリードを用意しておきましょう。子犬を家に連れてきて暫く経ったら、落ち着いた頃を見計らい、食事の時だけ首輪とリードをつけてみるなどして、少しずつ慣らしていくようにします。この時、無理にリードを引っ張ったりして首輪とリードに負のイメージがつかないように気配りを。
- 玄関から出る時には一旦“マテ”をさせてから外に出る
散歩に行けるとなると犬は喜び勇んで少しでも早く外に出たがるもの。しかし、急に玄関から飛び出してそのまま事故に遇ったり、最悪迷子になってしまうようなケースもあります。嬉しい気持ちをちょっと押さえさせ、“スワレ”“マテ”などのコマンドをかけて、まずは飼い主が先に玄関から出るようにしましょう。
- 歩かない子は無理をさせず一歩ずつ
- 中には外に出てもなかなか歩こうとしない子もいます。何かを怖がっているのかもしれません。リードを引いて無理に歩かせるのは禁物。それでは余計怖さを助長させてしまいます。その子の好物のおやつやお気に入りのオモチャを見せて、少しずつ誘導するようにします。特に、それまで歩いたことのないもの、たとえば人口芝や階段など、そういったものに対しては歩くことを躊躇することがあるものです。一歩でも歩けたらよしとして、気長に距離を延ばしていきましょう。
- “ツイテ”を覚えさせる
覚えさせておきたいものの一つが“ツイテ”。散歩中、始終飼い主の横についている必要はありませんが、車が来た時、小さな子供が横を通り過ぎる時など、トラブルや事故を防ぐためにも、そして犬自身の安全を守るためにも“ツイテ”を覚えさせておくと役に立ちます。
“ツイテ”を覚えさせるには、まず自分の左側に犬を座らせ、好物のおやつやお気に入りのオモチャを見せながら1歩ずつ歩いてみます。この時、“ツイテ”という言葉や、自分の左腿を軽く叩いて合図とするといいでしょう。1歩でも2歩でも上手に歩けたなら充分に褒めてあげます。犬がリードを引っ張り、先に行ってしまうようでしたら、その場で立ち止まり、再度“ツイテ”と言って正しい位置に誘導します。最初は家の中で練習し、慣れてきたなら少しずつ外でもできるように練習をしていきましょう。
日本の道路事情を考えますと、必ずしも左側である必要はないと思います。その時の状況によって、左でも右でもついて歩けるようにできたらベストですね。
- 犬の好き勝手に歩かせない
- 外にはいろいろな誘惑物がいっぱい。他の犬の匂いや、草木の匂いに犬は惹かれるものですが、その度ごとに、また犬が行きたいほうに飼い主がついて歩くのでは、飼い主が犬に散歩をさせられているようなものです。あくまでもリードするのは飼い主。時に自由にするのはいいですが、基本的には飼い主の誘導に従って犬が歩けるようにしたいものです。
- 拾い食いには注意を
- 散歩の途中では道端に食べ物などが落ちていることもあります。また田畑の多い地域では除草剤などが撒かれていることも。予期しない事故に遇わないように、道端に落ちている食べ物などは口に入れないようにしつけておきましょう。
- 他の犬に出会った時
散歩中に他の犬と出会うことで社会性を身につけることもできます。他の犬と出会った時には、人間同様に波長が合わない相手というのもいますので、いきなり近づかせるのではなく、少し様子を見てからにします。
お互いに合わないようでしたら、無理に近づけさせるのはやめたほうが無難です。
他の犬に吠えつく癖がある子の場合は、できるだけ飼い主のほうが先に他の犬に気づけるように気配りをし、他の犬が視界に入らないように体でさえぎってしまったり、その犬が通り過ぎるまで好物のおやつやお気に入りのオモチャを見せて、できるだけ飼い主に集中できるように仕向けます。その間、おとなしくしていられたら充分に褒めてあげましょう。
他の犬がいることが特別なことではないのだというふうに、段々に慣らしていくようにします。
散歩は飼い主にとっても心身にいい影響を与えてくれます。愛犬と一緒なら楽しさも倍増。お気に入りの散歩コースをいくつかつくって楽しんでみてはいかがでしょうか。季節ごとの新たな発見などがあるかもしれませんよ。